はじめての気持ちを感じたいなら
NYの車でのツアー、2日目。車窓越しの景色では、それぞれ独特の雰囲気をまとった建物がゆっくりと巡るように目の前に現れます。都心で見たような新しいビル、石造りの建物、レンガ造りの建物。ヨーロピアン調の建物が、「俺がここらでは一番長いんだぞっ。」って言いたげに、街の雰囲気を統一させているようで、頼もしいんです。
私にとって、いちいち声にだして確認してみたくなるような光景を、運動をした帰りのようなラフな格好の人や、ベビーカーをひく女性は当たり前のように歩いていて、「地元の人」として光景の一部となっています。もし、私がこの光景に、地元の人として馴染むくらいにここで過ごしたとしたら、どんな感覚になるのかなあ?・・・と考えていると、ふと、東京に来たばかりの、まだ何も知らなかった頃の自分を思い出しました。NYを前にした今と全く同じことを考えていたことに気付きました。東京に帰ったら、今みたいなはじめての気持ちを思い出してみようかな。
ひょっこりダコタハウス
さて、人通りが少し増えたかな?と思ったところで、停車。運転手さんが、「ここがダコタハウスです。ジョンとヨーコの住まいだったところです。」NYの街で、ひょっこりと有名な建物、記念碑が現れてくるのには、毎回びっくりさせられます。街並みに馴染んでいるので、言われなければ思わず通り過ぎてしまいそうになります。
ジョン・レノンのことは、小学生の時に知りました。大人気だったのに、若くして殺害されてしまった人というイメージとして心に残りました。まだ死にも出会ったことのなかった私は、さぞ怖かっただろう、なんてかわいそうな人なんだ・・・と思いました。そんな射殺事件が起こった現場のダコタハウスの玄関。事件が起こった当時は、多くの人が押しかけジョンの死を惜しみ、涙を流し、悲しい空気に包まれていたでしょう。今では、そんなことが嘘みたいに、笑顔で通り過ぎる家族連れの人が居たりして、平和な時間が流れています。
さて、ダコタハウスはセントラルパークの入り口付近に位置するのですが、横断歩道を渡るとすぐに、ストロベリーフィールズがあります。ジョンレノンの記念碑として、セントラルパーク内に造園された区画です。
モザイク状のデザインが目に入ったなあと思った時に、たくさんの人の声が、まばらに重なって、耳に届きました。だんだん声が多く、大きくなってきて、みんなでジョンの「イマジン」を歌っていることがわかりました。
当時はジョンの死に絶望し、泣き叫んだ人がいたかもしれません。でも、ストロベリーフィールズで声を揃えていた人たちは、ジョンの歌を自分の思い出と重ねながら心の平和を確かめているというくらいに、おだやかな表情でした。
自分がいなくなった後も、人の心を癒す存在として残っているって、尊いですね。。
私も道を歩きながら、頭のなかで、ふとビートルズの「she loves you」が流れて、自然と弾むような気持ちになってくることがあります。とある人は、ジョンの音楽を聴いて、「こんなに時が流れたのか」とはっとさせられるかもしれません。
世界中から観光客が訪れるストロベリーフィールズですが、みんなが同じ1人のことを考えながらおだやかな気持ちになれる場所。また時が流れて、次に訪れた時は、どんな感情になるのかなあ。