第5回目
ミス首都大学東京 高井ひろえの「読んだ、観た、感じた!」
プロフィール
ミス首都大2014 ミス着物賞 DHC賞 キレイモ賞受賞
ミスキャン時から毎日ブログを書き続け、女子大生として等身大の思いを伝えてきました。
今回ご紹介するのは、とあるものを愛してやまない青年が主人公のお話。
「風立ちぬ」
(写真・・・飛行機に見えたといってくださる方が1人でもいらっしゃれば大満足です)
ざっくり説明すると(#^.^#)
宮崎駿監督の最後の作品ということで予告時から話題になっていました。
大正から昭和へ移り変わる1920年代の日本を舞台にしており、
関東大震災、世界恐慌、失業、貧困と結核、革命とファシズム、言論弾圧と戦争につぐ戦争、、
閉塞感の激しい時代です。
そんな時代を、若者たちはどう生きたのか、、。
実在の人物である堀越二郎をモデルに、その半生を描いた作品です。
(堀辰雄の小説、『風立ちぬ』からの着想も盛り込まれています。)
堀越二郎は、登場当時「不敗神話」をもった零戦の設計者として有名です。
幼いころから、「美しい飛行機を作りたい」という熱意を持っています。
そして、当時不治の病として恐れられていた結核を患う菜穂子との恋に落ちます、、。
美しいものを追い求める堀越二郎
二郎の願いは、「美しい飛行機を作ること」。
幼いころから夢にまで見るほど飛行機に憧れをもっています。
でも、二郎はひどい近眼のため、飛行機に乗ることは叶わない。
そんな不満を抱いていた少年のとき、
夢でイタリアの飛行機設計者であるジャン・カプロー二伯爵と出会い、
「乗れなくても、飛行機をつくったらいいじゃないか!」と言われます。
夢にまで見るほど飛行機に携わることを願う二郎は、やがて現実に、その夢をかなえてゆきます。
旧東大で学び、三菱には期待の新人として入社します。
毎日さばの味噌煮を食べているのですが、そのさばの骨の曲がり具合が
飛行機のツバサの曲線に似ているからだと知ったときは、どれだけ飛行機を愛しているんだと驚きました(゜_゜>)!笑
ましっぐらに夢へ突き進む二郎は、未来への希望にあふれていて、
幼いころに母にした、「飛行機の設計士になります!」という言葉の通りに生きてゆく。
見ていて応援したくなるほどまっすぐ。
しかし、それは呪われた夢でした。
飛行機を作ることは、戦争の道具を作るということ。
二郎の乗る「戦闘機」は爆撃をたくさんのせて、人を殺しにいくのです。
試験飛行では、空中解体し、パイロットは死んでもおかしくない状態でした。
(実際は何人か堀越二郎の作った飛行機の試験飛行で亡くなっているそうです)
また、飛行機を1機をつくることで、日本中の子供にご飯を与えられるほどのお金が
つぎこまれてゆくのです。
死の病に侵された菜穂子が、命を削って二郎のそばにいても
二郎は飛行機に夢中で、夜に疲れて帰ってくるような生活。
あまりにもまっすぐに、純粋に、「美しい飛行機」を追い求める二郎には何の罪もないのですが、
まっすぐに進めば進むほど、まわりで何かが失われてゆく。
二郎は天才設計士だったこともあり、軍人からもこんな飛行機をつくってくれとの注文がきますし、
日本が戦争に向かってゆく限り、戦闘機はなくてはならないものです。
二郎がいやと言っても、作らされたのかもしれませんが・・・
時代のせいにしても、人を殺しているのは事実です。
美しい飛行機が、人々を乗せて、きれいな空を見て楽しむ、みんなが笑顔になる。
自分の愛しているものの延長線に、だれかの幸せがあることが一番良いのですが、
生きていると、そうはいかないこともあるのかもしれません。
そんな矛盾を抱えたまま、「1機も戻ってきませんでした・・・」と、物語は終盤へ向かいます。
結局、主人公はその矛盾に対してどんな結論をだしたのか、わからないまま終わるので、
観終わったときに、何か腑に落ちない感じが残るんです。
でも、人生ってそんなにきれいにまとまっていなくていいんだよ。
そんな矛盾を抱えながら、終わってしまっても、いいんだよ。と
主人公の人生を客観的にみることで、
許されたような気持ちになりました。
観た直後の感想
どう解釈していいのかわからず、観終ったあとにいろんな人に感想を聞いてまわった映画でした。
(*ー□ー*)
捉え方はそれぞれだと思いますが。。。
風立ちぬの世界は、濁りがなくて、、空も川も何もかもが透き通っていて
ただただ美しかったです・・・。
そのきれいさが、矛盾からくる虚しさを際立たせていていました。
ぜひご覧になったら感想教えてくださいね(#^.^#)
[DVD情報]
販売元: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- DVD発売日: 2014/06/18
- 時間: 126 分ASIN: B00J2NUMVS