ミス首都大学東京 高井ひろえの「読んだ、観た、感じた!」


プロフィール:

ミス首都大2014 ミス着物賞 DHC賞 キレイモ賞
ミスキャン時から毎日ブログを書き続け、女子大生として等身大の思いを伝えてきました。



第20回 双子の星 宮沢賢治

みなさんも教科書で親しんだことがありますよね!
小学校の教科書に、「やまなし」がのっていて、
「クラムボン」という謎のキャラクター?や、「かぷかぷ笑ったよ」という独特な表現の裏にあるものは何なのか?と、
自由に考え、色んな答えを楽しんでいた思い出があります(*^^*)

宮沢賢治は、郷土岩手に基づいた創作を行い、作品中に登場する架空の理想郷に、
岩手をモチーフとして「イーハトーブ」と名付けるほど、故郷を愛していました
(●^o^●)

自然を愛し、自然と交信していた宮沢賢治。
私には、宮沢賢治のような、自然と交信する才能はないです。。でも、
彼の書いた本を読んでいると、まるで彼の感覚が分かるかのような、、そんな感じがするんです。

私は、岐阜にいたとき、まわりは山に囲まれていました。
小学校のときは、学校帰りが一番楽しくて自由な時間でした。山、川、素晴らしい遊び場!!

ですが、私はその一方で東京が大好きになってしまって、
最近、岐阜に旅行へ行きたい友人に、岐阜ってどんなところ?って聞かれたときに、
一瞬困ってしまったのです。

自然豊かな岐阜と、それと触れ合った記憶が遠ざかっていたのかもしれませんね。
そんな記憶を思い出したかったのか、図書館で思わず宮沢賢治さんの本を手にとっていました。

数ある作品のうちの、1つ。双子の星です。

ざっくり説明すると(*^。^*)

天の川の西の岸に、チュンセ童子とポウセ童子という名前の、双子の星がいました。
双子の星は、透き通る水晶の宮に住んでいました。
双子の星のお仕事は、星たちが正しく空を巡れるように、銀の笛を吹くことです。

お日様が上ったころ、2人は空の泉まで遊びに行きます。
泉は青い星に囲まれ、石の間からほとばしる水は、天の川へと注ぐ・・・・。
そこで、黒いマントの大烏の星と、サソリの星が喧嘩してしまいます。

喧嘩で傷をおってしまった大烏は、「星」であるため、夜には正しい位置にいないといけないのです。
そんな大烏を、命からがら助けたり。。

次の章では、双子の星が、ほうき星にだまされて、海におとされてしまいます。
そこでは、ウミヘビの王様に助けてもらって、竜巻によって空へ戻してもらいます。

そんな風に、一見淡々と変化しているように見える星、海、自然の世界に
宮沢賢治は命を吹き込んで、表現している物語です。

こわいものが、こわくない

双子の星は、作品中でほうき星に振り落とされ、暗い海の中に落ちてゆきます・・・。
みなさん、夜の暗い海は、どのようなイメージですか?

波音だけがざざざ・・・と静かに聞こえてくる。
海の中は真っ暗で、光などない。
自分が、暗い海の中に、いきなりドボン!と飛び込んだとしたら
たとえ「エラ呼吸」ができるとしてもこわくないですか?!

しかし、宮沢賢治は、あたたかく、命を吹き込みます。

海の世界にいる「ひとで」は、空の世界でわるさをした星が追放された先の姿なのです。
そのひとでたちは、ウミヘビの呼びかけに従って、みんなで整列して、光る道のようになります。
また、白髪のウミヘビの王様が、双子の星を助けてくれるのです。
海の世界にも、「命」がある。。

そして、双子の星たちは、自己犠牲的で、本当に心優しいのです。

星を1人で見ている。暗い海を1人で見ている。
そんなとき、どことなくさみしくなりませんか。
心のもやもやが溶けるのと一緒に、なんだかさみしくなって・・・。

ですが、宮沢賢治の目には、星の世界も、海の世界も、あったかい命で溢れているんです。
どこへ行ったって、一人になんてならないんです。いや、なれないんです。

この世はなんて美しいんだろう・・・この本を手にして
「宮沢賢治」になってみれば、そんな気持ちになれるかもしれません。


(本情報)

  • 出版社: 偕成社 (1987/11)
  • ISBN-10: 4039633504
  • ISBN-13: 978-4039633507
  • 発売日: 1987/11
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